行政書士試験の学習、順調に進んでいますか?
前回は法律を作る「国会」を学びましたが、今回はその法律を現実に動かす「内閣」について徹底的に学習します。
- 内閣の具体的な仕事(権能)を、条文とセットで説明できるか?
- 「議院内閣制」の本質を、自分の言葉で説明できるか?
- 内閣不信任決議の効果を、キーワード(10日、解散、総辞職)を使って正確に言えるか?
これらの問いに、自信を持って「YES」と答えられるよう、本記事では内閣に関する頻出論点を図や表で視覚的に整理しました。統治機構の得点力を一気に高めていきましょう。
行政権の中枢「内閣」
その組織、権能、そして責任【行政書士試験対策】
1. 内閣の組織 — 誰が、どのように構成するのか?
国会が法律という「設計図」を作る機関なら、内閣はその設計図に基づき国を動かす「実行部隊」です。まず、その組織構成を正確に押さえましょう。
憲法第65条
行政権は、内閣に属する。
- 首長:内閣総理大臣
国会の議決で指名され、天皇が任命する(67条, 6条)。 - 構成員:国務大臣
内閣総理大臣が任意に任免する(68条)。 - 資格:全員が「文民」であること
軍人ではない者が政治を担う「文民統制」の原則(66条2項)。
2. 内閣の権能 — 具体的に何をするのか? (73条)
内閣の仕事(権能)は多岐にわたります。憲法73条を中心に、特に試験で問われやすいポイントと合わせて整理します。
権能の種類 | 内容と試験ポイント |
---|---|
法律の執行 | 国会が定めた法律や予算を誠実に実行する中心的な役割。 |
外交処理 | 外国との交渉。ただし、条約の締結には、原則として事前の国会承認が必要。 |
予算の作成 | 予算案を作成して国会に提出する。予算作成権は内閣の専権事項。 |
政令の制定 | 法律の範囲内でルール(政令)を制定。罰則を設けるには、法律による具体的な委任が必要。 |
裁判官の指名・任命 | 最高裁判所長官の指名、および下級裁判官の任命を行う。 |
3. 【最重要】議院内閣制と内閣の責任
内閣の強大な権力は、日本の統治システムの中核「議院内閣制」によって厳しくコントロールされています。これは、内閣が国会(特に衆議院)の信任のもとに存在し、国会に対して連帯して責任を負う仕組みです。
国会(衆議院)
信任
責任
内閣
この責任関係を最も象徴するのが、憲法69条の内閣不信任決議です。
【頻出】内閣不信任決議(69条)
衆議院で不信任決議が可決された場合、内閣は…
10日以内に「衆議院を解散」するか「総辞職」するかの二者択一を迫られる。
この「衆議院のみ」「10日以内」「解散 or 総辞職」というキーワードは、択一・記述問わず最重要論点です。
本日のまとめ
内閣は、行政権を担う「実行部隊」として幅広い権能を持つ一方、議院内閣制のもとで国会、特に衆議院に対して厳格な責任を負っています。この権能と責任のバランス関係を正確に理解することが、統治機構を得点源にする鍵となります。
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